センター長挨拶

photo北海道大学の化学系研究は目覚しい発展を遂げ、その多彩さと独創性で世界的に注目されています。特筆すべき成果として、本学工学部教授を務められた鈴木章名誉教授(平成27年からユニバーシティ プロフェッサー)がRichard F. Heck教授(米国、デラウェア大学)、根岸英一教授(米国、パデュー大学)とともに2010年のノーベル化学賞を受賞されました。この本学発の優れた化学研究を発展的に継続するため、文部科学省特別経費(概算要求事業)「次世代型クロスカップリング反応が拓く分子構築イノベーション」(平成24年度〜平成27年度)が承認され、この事業(MMC事業)を実施する拠点組織として工学研究院に「フロンティア化学教育研究センター(FCC)」が平成24年6月1日付けで設置され、活動を開始しました。平成26年度からは、新設されたフロンティア応用科学研究棟に本拠を移し、工学研究院と理学研究院や触媒科学研究所の関連分野の方々の力強いご支援を賜り、教育・研究支援活動を幅広く展開しています。国際連携支援事業では、世界から優秀な博士課程学生を受け入れ、英語による専門教育を行う国際先端物質科学大学院(AGS)を総合化学院と共同し、主体的に運営しています。令和2年1月までに127名の学生が入学しました。インターンシップ事業では、世界23の国と地域へ151名の学生派遣を、また、18の国と地域から120名の留学生受入を支援しました。最近では、本学が推進する北海道大学サマー・インスティテュート(HSI)等における英語講義の開催支援も精力的に行なっています。研究支援についても、「鈴木章記念未来創造ラボ事業」で分野横断型連携研究、および若手連携研究を、「若手研究者フィージビリティ・スタディ(FS)支援事業」で若手の助教や准教授単独の研究を支援し、世界に羽ばたく化学研究の一助を担っています。また、本年度から新たに「機器分析・管理支援室」を設置し、核磁気共鳴分析装置(NMR)6台をはじめ、各種分析機器の管理・運用に関する業務を開始し、より効果的に研究支援できる体制が整いました。
これからも本学化学教育・研究の発展に資するべく、フロンティア化学教育研究センター(FCC)一同邁進する所存です。ご指導、ご鞭撻賜るようお願いする次第です。

令和2年7月
フロンティア化学教育研究センター
センター長 大熊 毅